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July 30 06020.うらなり小林信彦 文芸春秋
漱石の「坊ちゃん」の登場人物「うらなり」から見た「坊ちゃん」。
後日譚とも言えるでしょうか。 短い作品ですが、一気読み。堪能しました。 小林さんの些細なところまでの「こだわり」が伝わってきます。 しかし、押し付けがましさはありません。 とてもよい気持ちになりました。 収録されている創作ノートで、小林さんの「こだわり」を知ることができますが、
帯にもある 「『うらなり』というこの作品は、
漱石の文体模写でもパロディでもない。 愛すべき初期漱石作品への ぼくのオマージュなのである。」 という最後の一文で小林さんの思いを知ることができます。
和田某とか言う画家の盗作騒ぎで「オマージュ」という言葉まで胡散臭く思ってしまう最近の私ですが、小林さんの「オマージュ」というのが正しい使いかたです。
私は高校時代に漱石の全集を読破しました。 しかし、漱石が試験問題になりやすい、という言い訳で、 受験勉強をサボる為に読んだので、感受性の低い私には 伝わるものがなく、内容もほとんど覚えていません。 さすがに「坊ちゃん」のストーリーくらいは、なんとなく覚えていましたが、 「うらなり」の思いなんて考えが行き着くはずもありません。 もう一度漱石の作品を読んでみようと思っています。 そんな気にさせる作品でした。 間違いなく、小林信彦さんの代表作となる作品です。
July 24 06019.幸運は誰に?(下)カール・ハイアセン 田口俊樹 訳
扶桑社ミステリー
下巻は一気に読み終えることができました。
主役は獣医助手の黒人女性。動物好きで、宝くじの当選金は自然破壊の危機にある開発予定地を買って保護するために使おうと思っています。
一緒に行動する新聞記者は離婚を望んでいるのに妻が逃げ回っていて承知してくれなくて困っていて、アラスカで小説を書きながらの引退生活を夢見ています。
悪役はネオ・ナチもどきの超人種差別者の白人。この世の悪いことはすべて純粋な白人以外の人間のせいだと思っています。その相棒は、どうしようもないグウタラ。
宝くじの当選金がでた町は、インチキ宗教が唯一の産業。
登場人物はすべて一癖もふた癖もある人ばかり。
それぞれが皮肉たっぷりに描かれています。とにかく、思わず笑わずにはいられない描写の連続。
ただ、その根底に流れるのは、現代アメリカ社会に対する強烈な皮肉のようです。
人種差別、地域格差、産業化した宗教、自然破壊、マフィアのマネーロンダリングとそのために利用される、利益だけが追求される投資活動。
すべてが現代アメリカ(日本も)を蝕む病原菌で、難しい問題です。
笑い飛ばすしかないのでしょうか・・・
July 20 06018.幸運は誰に?(上)カール・ハイアセン 田口俊樹 訳
扶桑社ミステリー
無条件で楽しめそうなので読むことにしました。
ジョレインは美人でスタイル抜群、でも、なぜか男運は最悪。そんな彼女が1400万ドルの宝くじに当たってしまいました。ところが当選はもう一枚あり、その当選者はネオナチもどきの最悪犯罪者2人組み。
このコンビがジョレインの宝くじを狙います。
ギャグ満載で登場人物はほぼ全員が変人。宗教を商売にしていたり、ゆがんだ倫理観をもっていたりで、何も考えずにただひたすら楽しく読めるかもしれませんが、実は根底には人種差別や環境破壊、その他現代のアメリカが抱える社会問題が根底にあり、無条件で笑って読むわけにもいかなさそうです。
上下刊各400ページ。ここまで書かなくてもいいんじゃない、とも思うボリュームです。
下巻も楽しみ。
July 17 ラブ☆コン必要以上に身長が高い「デカ女」小泉リサ(藤澤恵麻)と、必要以上に身長が低い「小っさい男」大谷敦士(小池徹平)。
誰もが抱えるコンプレックスを明るく、ときに切なく描いた学園ラブコメディ。 なのですが、今時の若い子がこれだけ真剣に身長差を気にするのか、とビックリ。 だって、最近のカップルみてると、自転車の後に男が乗って、前で一生懸命漕いでいるのが女の子だったり、電車の中で男が座り、女が立っていたりが目に付くからです。 男が女を守るっていうか、男女の役割っていうか、そういうのは気にしなくなっているのに、どうでもいい身長差みたいな外面だけが問題になっているのでしょうか、最近の若者恋愛事情は。 もしかすると、この身長差で悩むカップルも今や昔の話で、こんなことで真剣に悩む話がかえって新鮮なので、人気なのかもしれません。 原作は「別冊マーガレット」で連載中。コミックスは累計で600万部も売れているそうです。
主演の小池徹平君は超人気デュオ「 WaT」(ワット)のメンバーで、その片割れのウエンツ瑛士が「土下座出演」(土下座してしゅつえんしてもらった?)ということで、ちょっとだけ顔を出しているのですが、私は発見できず。
ウエンツって顔知らなかったんですから無理ないです。 私のような年寄りが見るべき映画ではないのでしょうか。 最近私はこの手の話に弱くて、ちょっとだけ胸が「キュン」となってしまいました。
テンポが速く、出演者のファッションも素敵、漫才のような高校生達のやり取りも笑えて、やりすぎのギャグも満載。大いに楽しませてもらいました。 Wimbledon 2006サッカー・ワールド・カップとウインブルドンが閉幕して一週間、先週は扁桃腺を腫らして最悪の日々、睡眠不足から開放され体調もやっと戻りました。
好きなテニスプレイヤーのプレー・スタイル。
バックハンドは片手打ちでスライスが上手い。
ストロークはライジングでテンポが速く、ネットプレーが上手い。 力で押すよりショットの組み立てを大切にして、テクニック勝負。 相手の裏を掻くショットと信じられない体勢からのスーパーショット。 サービスは速さより回転とコントロール。スライスサーブの使い方が上手い。 と、書いていくと
フェデラーのプレースタイルの方が断然好みのはずなのに、何故かナダルを応援してしまいます。 芝でのフェデラーは強すぎて面白くないからです。 ウインブルドン今年の男子決勝はフェデラー×ナダル。 この二人、フレンチ・オープンに続いての対戦です。 フレンチではフェデラーが1stセットを取ったものの、3-1でナダルの勝利。 今回も1stセットは6-0でフェデラー。ナダルはなすすべもなし。
2ndセットはいきなりナダルがフェデラーのサービスをブレイク。
期待したもの、セットを取るためのサービスゲームをキープできません。 タイブレークもナダルが先手取りながらも、結局7-5でフェデラー。 3rdセットはお互いサービスをキープしてタイブレーク。
ナダルがいきなりのミニブレークを活かしてこのセットを奪取。 フェデラーはこの大会初めてセットを落とします。 4thセット。気合の入ったフェデラーが一気にブレーク。
最後はフェデラーがラブゲームでキープして4連勝を決めました。 ナダルは芝での驚異的な成長を見せたものの、フェデラーが強すぎます。
フェデラーの素晴らしいショットに、観客は息を呑まされ、歓声が起こるのが一瞬遅くなります。 対戦相手は皆可哀そう。良い球を打っても、それ以上の凄い球が帰ってきます。 皆、苦笑いするしかないですよね。 勝てなかったものの、ナダルの成長は目を見張るものがありました。
ネットプレイがほんの少し上手くなって、ストロークをちょっとだけ前で打てる勇気を持てたら、大化けするでしょう。 フェデラーはクレイでは絶対ナダルに勝てないけど、芝でもナダルはフェデラーに勝てるかもしれないと思わせるゲームでした。 July 09 サイレント・ヒル原作は日本製ゲーム。もっとも怖いとの評価があるそうです。
シリーズ4作で累計530万本の売り上げはすごいですね。 養子に迎えた最愛の娘シャロンは夢遊病。悪夢にうなされて徘徊する。
「サイレント・ヒル」という奇妙な言葉を娘が叫ぶのを聞いた母親のローズは、失われた町「サイレント・ヒル」を訪れることにする。町に入る直前に道に飛び出してきた女の子を避けようとして事故に合い、気がつくと娘シャロンがいなくなっていた。廃墟と化した町をシャロンを求めて探索するローズ。 私はこのゲームを全く知らないので、展開を追うのが辛かったです。ゲーム・ユーザーならわかるのでしょうか。結末も意味が良く解からず不満。ホラー映画ですが私にとってはそんなに怖いとは思えませんでした。
ホラー映画は「エクソシスト」以来ほとんど見ていないので、同種の作品と比べることもできません。「サスペンス・ミステリー・ホラー」という感じの作品でした。 ビジュアルがとても綺麗でした。70年代アメリカの田舎町の町並みが見事です。建物の中も素晴らしく、クリーチャーもよくできていました。その見事さが怖さを打ち消してしまっているのかもしれません。
主人公の母親ローズは映画オリジナルのキャラクターだそうです。
母親としての執念がサスペンスを効果的に演出していると思います。 父親だとこんな怖い展開にはならないでしょうね。 July 05 06017.魂よ眠れSoul Circus
ジョージ・P・ペレケーノス 横山 啓明 訳 黒人探偵デレク・ストレンジ・シリーズの3作目。日本では2年ぶりの登場です。
原作は2003年に出版されています。最近は毎年書かれているようなので、日本での出版のタイミングは歯痒いです。 黒人探偵デレク・ストレンジは、死刑が濃厚な元暗黒街のボス、オリヴァーの弁護のために働いていた。デレクはかつてオリヴァーの父の死に関係したからだ。同時に引き受けた簡単な調査の仕事が意外な展開に。オリヴァーを助けることができる重要証人の女の存在と対立するストリート・ギャング達も絡みあって、デレクはギャングたちの血で血をあらう抗争に巻き込まれてゆく…
どうしようもない程腐りきったアメリカの犯罪事情。特に未だに残る人種差別とそれによる貧困者層の存在。日本人には想像も出来ない、犯罪の低年齢化にはやるせなさを感じます。
この救いのなさをペレケーノスはギリギリのところで描いています。 主人公デレクのやっていることは、現代アメリカ社会への挑戦とも言えることで、現実の世界では彼の勝利はありえないような気がします。そうなるとこの物語は成立しません。 明るい光明を見出せる、彼の行動の成果が描かれているから、私もこの作品が好きなんです。
デレクの活躍が本格化するまでの導入部は、やりきれなさからか、とても読み進むのが辛かったです。 でも、好きなペレケーノス作品、結局グイグイ読ませてもらいました。 July 04 ウインブルドンの杉山愛久々テニスの話題です。
最近お気に入りの選手がいないので、テニスをテレビ観戦する機会が減ってます。 今年のウインブルドンは杉山愛がヒンギスと対戦することになり観ることにしました。
サッカー・ワールドカップ、ドイツ×アルゼンチン。延長戦&PKでドイツの勝利を見届けた後、眠い目をこすりながらの観戦でした。 パワーテニス全盛の今、ヒンギスと杉山のテニスはテクニックの競い合いで、私好みの試合。
ヒンギスが長い休みを取っている間も頑張っていた杉山が見事な勝利。 眠さも苦にならない程楽しませてもらいました。 杉山ベスト16での対戦相手は、予選上がりのランキング100位台のフランス人。ラッキーなドローです。速いサービスと力強いフォアハンドを持つ相手でしたが、荒削りで、ファーストサービスの確率も低く、杉山は第一セットの早い時点でサービスをブレイクし5-3。しかも杉山サービスの40-0。
しかしここからが最悪。 ダブルフォルトあり、チャンスボールを戻りきれていない相手のバックハンドに打ち、切り返されたりでこのゲームを落としてしまいます。 その後も常にリードはするのですが、マッチポイント9本を取れず、タイブレークを逆転で落として、ファーストセットをダウンします。 セカンドセットも最初の相手のサービスをブレイクしたもののその後は良いとこなしで負けてしまいました。 フォアサイドのサービスはワイドに打つばかりで力が入り、トスが右に流れて入らないし、バックハンドのダウン・ザ・ラインも活かせてませんでした。 ファーストセットを落としたときには腹が立ち、物を投げつけたい気分でした。
多分、杉山さんってまじめすぎるんですよね。
相手はシングルハンドのバックが弱点。そこをしつこく攻めたのは良かったけど、せっかく良いショットを打って戻りきれていない、相手のいるところに打ったのでは駄目です。 フォアサイドのオープンスペースに打つとか、ブロック気味のレシーブだけでなく、ファースト・レシーブを引っ叩くとか、もう少しの思い切りが欲しかったです。 ファーストセットを取った相手は、3-5になった時点で勝つことをあきらめていた節があったので、「何で取れたんだろう」ってな顔をしていました。完全に杉山の自滅です。 2年前の準々決勝、シャラポア戦を思い出しました。
あの時も主導権を握っては追いつかれて、結局は負け。シャラポアは優勝してしまいました。 私みたいな凡人には判らない何かが杉山にはあったのでしょうね。 この日の夕食は愛妻の500キロカロリー献立だったのに、深夜の観戦のためスナック菓子を食べて
水の泡。朝起きても、眠いし、胃はもたれてるし、最悪。本当に残念でした。 July 03 ダ・ヴィンチ・コード誰もが知っている大ヒット映画。原作は同名の大ヒット「ミステリ・ノヴェル」。
妻と娘が「タイヨウのうた」を観ている間に吹き替え版を観ました。 読んでから観るか、観てから読むか、悩んだのですが、読む前に観てしまいました。 感想は、「ふーん、こんなもん。」てな感じ。
本がヒットしたことによる、プロモーションの勝利ですね。 原作は謎解きの面白さでヒットしたようですが、それを2時間余りの映画に収めるのは難しいでしょう。 映画では謎解きの面白さはほとんど感じられませんでした。 ルーブルでのロケなど、映像は綺麗で豪華。普通の超大作ですね。 意外性も感動もなかったです。 とはいえ、原作を読んでいないので偉そうな感想は書けません。 プロモーションに乗っかって原作を買うのも悔しいので、誰かに借りて読もうと思っています。 06016.らも咄中島らも 角川文庫
「寝ずの番」映画を見て、原作が読みたくなり本屋へ行ったら隣にこの本があり、思わず買ってしまいました。らもさんの比類なき突拍子のなさが如何なく発揮された新作上方落語集です。
発想は常識を大きく外れているかもしれませんが咄のフォーマットはちゃんと「上方落語」です。これも人前では読めない必笑の全14話。誰かこれを高座で演じた人がいるのでしょうか。是非聞いてみたいです。
続編もあるようなので読んでみます。 見事な解説は仲畑貴志さん。 |
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